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スクールを増やす前・チームを変える前に|子どものサッカー環境で迷った時の整理の仕方

スクールを増やす前・チームを変える前に|子どものサッカー環境で迷った時の整理の仕方

チームの練習は週3回。それに加えてスクールへ通い、家でも自主練をしている。それでも周りを見ると、別のスクールにも通っている子や、個人レッスンを受け始めた子の話が聞こえてきます。

試合に出られない時期が続けば、チームを変えたほうがいいのかとも考えます。コーチの評価が気になることもあります。IPPOはチーム活動とは別の場所で子どもを見ているので、こうした相談を受けることがよくあります。ここでは、環境で迷った時に確かめる順番を整理しました。

練習を足しても身につく量が同じように増えるわけではない

うまくなるために練習が要ることは間違いありません。ボールに触り、身体を動かし、何度も失敗しながら技術は身についていきます。ただ、量と伸びは比例しません。

月曜はチーム練習、火曜はスクール、水曜は別のスクール、木曜はチーム練習、金曜は個人レッスン、土日は試合。ここまで埋まると、その週に学んだことを整理する時間も、自分で試す時間もほとんど残りません。

毎日違うコーチから「もっと仕掛けよう」「早く離そう」「ここにポジションを取ろう」と言われれば、子どもの中で整理しきれなくなることもあります。教えてもらう量と、身につく量は同じではありません。

足りないものを探す前に今あるものを使えているか

試合で活躍できなかった日には、ドリブルをもっと練習したほうがいいか、フィジカルもやったほうがいいか、と新しいものを足したくなります。その前に一度、本当に新しいものが要るのかを考えてみてください。

たとえば、ドリブルの技術そのものは十分にある。けれど試合になると、いつ仕掛ければいいのか分からない。ここでドリブル練習を増やしても、問題は動きません。必要なのは、どんな状況ならドリブルを使えるのかを理解することかもしれません。あるいは、すでに教わったことを次の試合で一つ試してみる時間かもしれません。

足す前に、いま持っているものを使えているかを見る
足す前に、いま持っているものを使えているかを見る

学ぶ、試す、振り返る、また試す。このサイクルが回っていないと、新しく教わったことは積み上がりません。成長には、覚える時間と同じくらい、身につけるための時間が要ります。

「もっとやりたい」と思っているのは本人か親か

何かを追加する前に、もう一つ確かめておきたいことがあります。誰がやりたいと思っているのか、です。子ども自身が「もっとうまくなりたいから別の練習もしたい」と言っているのか。保護者が「周りもやっているから」と考えているのか。この二つは似ていて、中身がかなり違います。

小学生が自分に必要な環境をすべて判断するのは難しいので、大人が選択肢を示すこと自体は必要です。ただ「こういうのもあるけど、やってみたい?」と聞くのと、「あなたのためだから行きなさい」とでは、本人の受け止め方が変わります。サッカーは長く続きます。自分の成長に参加している感覚を失わないほうが、結局は続きます。

何もしない日にも意味がある

予定のない日を見ると、この時間に自主練できるな、と思うかもしれません。やりたいと言うのなら、もちろんそれでいいと思います。ただ、友達と遊ぶ、家でのんびりする、別のスポーツをする、十分に寝る。こうした時間にも役割があります。

サッカーから頭を離す時間があるからこそ、やっぱりサッカーがしたい、と戻ってこられることもあります。毎日サッカーを与え続けると、好きでやっていたものが、いつの間にかやらなければならないものに変わってしまう場合もあります。

費用に迷うのは当然のことです

学年が上がるほど、月謝、遠征費、スパイク、ウェア、大会参加費と負担は増えます。できることは全部やらせてあげないと、と思いすぎなくて構いません。高額な個人レッスンを受けている子が全員伸びるわけではありませんし、複数のスクールに通っていないから伸びない、ということもありません。無理なく続けられる範囲で、その子に今必要なものを選べば十分です。

増やすなら目的を一つだけ言葉にしてから

スクールや新しいトレーニングを足してはいけない、という話ではありません。チームでは得られない学びもありますし、新しい指導者との出会いで大きく変わる子もいます。追加する時におすすめなのは、何のために通うのかを親子で一度言葉にしておくことです。

  • 試合で周りを見て判断できるようになりたい
  • 苦手な左足を使えるようになりたい
  • 違う環境の選手ともプレーしてみたい

目的があると、周りが行っているから、という理由から離れて判断できます。そして数か月後に「最初に決めたところに近づいている?」と振り返ることもできます。

伸びていないように見える時期は誰にでもある

成長は、きれいな右肩上がりにはなりません。しばらく変化が見えない。それでも続ける。ある時、急にプレーが変わる。階段のような上がり方をします。

「ボールを受ける前に周りを見る」を学んだ子の場合、最初は言われた時だけできる。次に練習ではできる。でも試合では忘れる。やがて試合でも時々できる。そして意識しなくてもできるようになる。外から見えるのは最後の変化だけですが、その前の数か月も必要な途中経過です。

伸びていない時期にも、頭の中では変化が起きている
伸びていない時期にも、頭の中では変化が起きている

授業で「今、何を見ていた?」「どうしてそのプレーを選んだ?」と聞くと、以前は「なんとなく」と答えていた子が、「相手が中にいたから外を選んだ」と説明できるようになることがあります。結果がパスミスでも、考えている量は増えています。こうした変化は、試合を観ているだけでは見えません。

比べるなら先週ではなく半年前と

成長が見えなくなった時は、比べる時間の幅を長くしてみてください。先週と今週、今日の試合と前回の試合。ここだけを見ると、調子の波のほうが大きく見えます。半年前と比べると、違うものが見えてきます。

  • 以前より周りを見られるようになった
  • 自分のプレーについて説明できるようになった
  • 苦手な足も使おうとしている
  • 失敗しても、そのままプレーを続けられる
  • 練習の準備を自分でするようになった

サッカーの成長は技術だけではありません。ここまで含めて見てみると、思っていたより進んでいた、と気づくことがあります。

試合に出られない理由を確かめてから移籍を考える

出場機会の少なさは、移籍を考える大きなきっかけになります。より多く試合に出られる環境へ移ることが成長につながる例も実際にあります。その前に確かめたいのが、なぜ今は出られていないのか、です。

チーム内の競争が激しいのか。今取り組んでいる課題があるのか。そのポジションの人数が多いのか。練習で求められていることを本人が理解できていないのか。理由によって、次の一手は変わります。課題が分からないなら、本人からコーチに「試合に出るために、今の自分は何を伸ばしたらいいですか」と聞いてみるのも一つです。そこで具体的な課題が分かれば、環境を変えずに前へ進めることもあります。

環境を変える前に、確かめておきたいことがある
環境を変える前に、確かめておきたいことがある

「厳しい環境」と「合っていない環境」は分けて考える

暴言や人格否定、過度な恐怖で子どもを動かすような指導を我慢する必要はありません。安全や尊厳が守られていない場合は、大人が入るべきです。

一方で、競争がある、思うようにいかない、自分より上手い選手がいる、コーチから課題を指摘される。こうしたしんどさは、悪い環境だから生まれるとは限りません。その中で試行錯誤することが力になる場合もあります。本人が苦しんでいるからすぐ環境を変える、と直結させず、乗り越える種類のものなのか、環境そのものの問題なのかを分けてみてください。

コーチの評価が気になった時の聞き方

子どもが「何を頑張ればいいのか分からない」と言うなら、コーチに確認するのも選択肢です。聞き方だけ、少し工夫できます。

「なぜうちの子を試合に出さないんですか」と聞くと、どうしても評価への抗議という形になります。「今後もっと成長するために、特に取り組んだほうがいい部分を教えていただけますか」と聞くと、話の中心が出た出ないから、これから何を伸ばすかへ移ります。子ども自身が聞ける年齢なら、本人から聞いてみるのがいちばんです。自分の課題を自分で確かめる経験になります。

気をつけたいのは、評価されるためのサッカーになりすぎることです。ミスしないプレーを選ぶ。怒られないようにする。コーチが好きそうなプレーをする。チームで求められる役割を理解するのは必要ですが、今のコーチに高く評価されているものだけが、その子の持ち味ではありません。指導者が変われば評価は変わります。身についたものは残ります。

環境を変える前に親子で3つだけ整理する

チームを変えるべきか悩んでいるなら、この3つを言葉にしてみてください。

  • ① 今の環境で困っていることは何か。「何となく伸びない」ではなく、できるだけ具体的に
  • ② それは今の環境では解決できないのか。取り組み方を変える、コーチに相談するなど、まだできることはないか
  • ③ 新しい環境に何を求めるのか。試合経験か、指導か、競技レベルか、本人が楽しめることか

③が曖昧なまま移ると、新しいチームでも同じところでつまずくことがあります。移籍が答えになる家庭もあれば、残ることが答えになる家庭もあります。

あわせて読みたい

中学からの進路を考え始めた方は、ジュニアユースのセレクション|小学6年生の親が動く時期とチームの選び方に、時期ごとの動き方を書いています。

試合で力を出せない原因がプレー面にありそうなら、「練習ではできるのに試合でできない」を変えるも合わせて読んでみてください。

まとめ

「もっと何かしてあげられるのではないか」という気持ちは、応援していれば自然に生まれます。周りの子が新しいスクールに通い始めれば、焦りもします。ただ、成長は習い事の数で決まるものではありません。

新しいものを足す前に、この4つを一度考えてみてください。

  • 今、この子は何に困っている?
  • 今ある環境で、それを学べている?
  • 本人は何をやってみたい?
  • 休む時間は取れている?

新しいスクールを始めることが答えになる時もあれば、今やっていることを続けることが答えになる時もあります。何も増やさないのが一番いい選択になることもあります。

IPPOも、予定を一つ増やすための場所にはしたくないと考えています。チームで経験したプレーを振り返り、次のチーム活動で試す。所属チームとは違う立場で関わることで、いま持っているサッカーの時間を、より学びにつなげたいと思っています。環境で迷った時の材料として、ここに書いた順番を使ってみてください。

この記事を書いた人

岡田俊祐

岡田 俊祐オンラインサッカー塾IPPO 代表コーチ

レノファ山口U15 → 芝浦工業大学柏高校 → 筑波大学蹴球部 → NAGAREYAMA F.C.。全国の小中学生に「サッカーIQ(判断力)」をオンラインで教えています。

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