
「向いていない」と感じるのは自然なことかもしれません
サッカーを始めたばかりの頃や、なかなか上達を実感できないとき、子どもたちの口から「自分ってサッカー向いてないのかも…」という言葉が出てくることがあります。保護者としても、どう声をかけていいか悩む場面かもしれません。
でも、その「向いていないかも」という気持ちは、必ずしも才能や資質の問題ではありません。まずは、いくつかの視点から状況を捉え直してみましょう。
1. 向いていないのではなく「やり方」が合っていないだけかも
スポーツでも、「できないこと=向いてない」と結びつけてしまうのは自然な流れです。でも実際には、不得意なプレーがあるのは当たり前で、すべての子どもが最初からバランスよくプレーできるわけではありません。
たとえば、足が遅いからサッカーに向いていないと思ってしまう子がいるかもしれません。でも、ポジショニングや判断力で勝負できる選手もたくさんいます。
また、同じ学年でも、身体の成長具合や理解のスピードには個人差があります。ある子が早くから活躍しているように見えても、それが一時的なものだったり、逆にゆっくり伸びていく子も多くいます。
周囲と比べすぎることで「向いていない」と感じやすくなることもあります。まずは、「得意なやり方を見つけてあげる」ことが大切です。
2. サッカーにおける“向いてる”ってそもそも何?
「サッカーに向いている子」と聞くと、足が速い、技術が高い、体格がいい――そんなイメージがあるかもしれません。でも、実際にはそれだけではありません。
視野の広さやチームのために走り続ける献身性、声を出して仲間をサポートする姿勢など、数字やテクニックでは測れない強みが、試合で大きな価値を持つことがあります。
また、子どもの資質は固定されたものではなく、練習や経験を通じて育つものでもあります。最初は苦手だったプレーも、適切な指導や成功体験を重ねることで「得意」になることだってあります。
「向いていない」は、実は“今この瞬間”だけで判断するのがとても難しいものです。焦らず、長い目で見てあげることが大切です。

3. 親が子どもの“気持ち”に寄り添ってあげて
子どもが「向いてないかも…」と口にしたとき、それは必ずしもサッカーを本当に辞めたいという意味とは限りません。「最近うまくいかない」「試合に出られない」「友だちとの関係が難しい」など、別の気持ちが隠れていることも多いのです。
そんなときこそ、親が気持ちに寄り添い、安心感を与える存在であることが大切です。
- 「どうしてそう思ったの?」とやさしく聞いてみる
- 結論を急がず、「どんなときが楽しかった?」と振り返ってみる
- 「〇〇ちゃんはこうなのに」と他の子と比較しない
子どもにとって大人の言葉は強く響きます。だからこそ、「向いてる・向いてない」を決めつけるのではなく、「いま何に困っているのか?」を一緒に探す姿勢を持つことが、何よりのサポートになります。
また、親だけで抱えこまず、コーチや第三者に相談してみるのも一つの方法です。IPPOでも、子どもに合わせた練習方法やモチベーションの悩みに応じたサポートを行っています。
最後に:大切なのは「正しい判断」より「前向きな選択」
「サッカーを続けるべきか」「やめるべきか」と悩むとき、親としても正解を出したくなる気持ちは強いと思います。
でも、本当に大切なのは「やめないこと」や「続けること」そのものではなく、どんな選択であっても子どもが前向きに次のステップに進めることです。
そのためには、子ども自身が納得して決めるプロセスが重要であり、親はその“土台”を整えるサポート役です。
向いている・向いていないではなく、「今この子に何が必要か?」という視点を忘れずに、これからの一歩を一緒に考えていきましょう。