
トレセンとは?選考の流れ
「トレセン」という言葉、聞いたことはありますか? トレセンとは「トレーニングセンター」の略称で、JFA(日本サッカー協会)が主催する、地域ごとの育成・選抜制度です。小学生から中学生の育成年代を対象に、地域トレセン(市区町村単位)、都道府県トレセン、ブロックトレセン、そしてナショナルトレセンと段階的にレベルが上がっていきます。
トレセンの大きな目的は、将来的に日本代表やプロ選手として活躍できる可能性のある選手を早い段階で発見し、適切な指導環境を提供することです。そのため、選考にあたっては「今うまいかどうか」だけでなく、「将来的に伸びるかどうか」も重視されます。
選考の流れは地域によって異なるものの、一般的には以下のステップで進みます:
- 推薦またはスカウト:所属している少年団やクラブチームの監督・コーチが、実力や将来性を見込んで推薦します。地域によってはトレセンの関係者が試合を見に来てスカウトするケースも。
- 一次・二次選考:選考会では主に試合形式(8人制や11人制)でプレーし、実戦の中での能力を評価されます。ボール扱いの技術だけでなく、プレー中の判断や動き方、協調性などが見られます。
- 最終選考と合否通知:プレーを見たコーチ陣によるディスカッションを経て、合否が決まります。選考の基準は明確に開示されないことも多く、「なぜ選ばれたか/選ばれなかったか」が分からないままになることもあります。
そして何より重要なのは、トレセンに選ばれることがゴールではないということです。あくまで通過点であり、選ばれなかったとしてもその後の努力と環境次第で、選ばれた子以上に成長することは十分に可能です。
著者が考える意外と評価される5つの力
トレセンにおける選考では、一般的に「技術」や「スピード」が注目されがちですが、それだけでは不十分です。選考する側の視点に立つと、実は“判断力”を中心とした総合的な能力を見ていることが分かります。
ここでは、私たちがこれまで見てきたトレセン選考の現場から、特に評価されやすい5つの力を紹介します。
1. 判断速度(プレースピード)
サッカーでは「判断の速さ=プレーの質」と言っても過言ではありません。トレセンでは特に、ボールを持ってから何をするかを素早く決められる選手が評価されます。たとえば、パスを出す・ドリブルで運ぶ・シュートを打つ、その判断が一瞬でできるかどうか。
相手が近づいてきてから考えるのではなく、次のプレーを予測して準備しておくことが求められます。判断が早い選手は、スピードが速くなくても「試合で効いている」と感じられるのです。
2. オフボールの動き
ボールを持っていないときに何をしているか。ここが意外と見られています。特にトレセンでは、試合の流れを読んでポジショニングを取ったり、味方をサポートする動きができるかが重視されます。
「ボールが来てから動く」のでは遅く、味方や相手の動きに合わせて、先に動いてスペースを作る・埋めるといったプレーができる選手は、一目置かれます。
3. ストロングポイントの明確さ
トレセンでは、「何でもそつなくこなす子」よりも、自分の武器を持っている子が評価されることが多いです。「足が速い」「左足のキックが正確」「パスのテンポが良い」など、プレーの中でその子らしさが光ると、選考する側の印象にも残りやすいのです。
さらに、それを活かそうとする姿勢も大切です。コーチから「この子は○○ができる」と評価されるためには、その特徴を積極的に見せるプレー選択が重要になります。
4. コミュニケーション能力
サッカーはチームスポーツです。特にトレセンのような初対面同士で構成されるチームでは、周囲とコミュニケーションを取って連携できるかが重要なポイントになります。
「パス!」「カバー行くよ!」などの声かけはもちろん、アイコンタクトやジェスチャーでも構いません。自分から周囲に働きかける姿勢がある選手は、プレーの質だけでなく、コーチからの信頼も得やすくなります。
5. 礼儀・態度
最後に意外と見られているのが、ピッチ外での態度です。コーチへの挨拶、準備や片付けの姿勢、仲間へのリスペクトなど、サッカー選手として以前に、人としての土台ができているかが評価されるのです。
これは“保護者の関わり方”とも関係があります。家庭での言葉づかいや行動習慣は、選手の立ち振る舞いに表れます。「中身も素晴らしい子だな」と思わせることが、時に最終的な評価を左右することもあるのです。
家庭で今日からできるサポート
「トレセンに行きたい」と言い出したとき、あるいは「選ばれなかった」と悔しがっているとき、親にできることはたくさんあります。
そのサポートは、特別な知識や資格が必要なわけではありません。むしろ、日常の中にある「ちょっとした工夫」や「声かけの質の違い」が、子どもの判断力を大きく育てていくのです。
1. 自主練の質を上げる声かけ
子どもが家の前や公園で自主練をしているとき、「頑張ってるね」だけで終わっていませんか?そこに、少しだけ問いかけを加えてみてください。
「今の練習、どんなこと意識していたの?」 「その練習は試合でどんな風に活きるの?」
こうした質問が、“考える練習”に変わるきっかけになります。 また、子どもがプレーを言語化できるようになることで、頭の中で整理が進み、次回の判断が早くなるという好循環も生まれます。
2. 試合映像を活用した対話
最近では、スマホでも簡単に子どもの試合を録画できます。これをただの記録にせず、「振り返りツール」として使ってみてください。
「このとき、なんでこのプレーを選んだの?」 「他にどんな選択肢があっただろうね」
親子で映像を見ながら対話をすると、客観的に自分のプレーを見る目が育ちます。また、プロの試合を一緒に見ながら「この選手は何を見て動いてると思う?」と問いかけるのも非常に有効です。
3. 判断力の土台になる“生活習慣”
忘れがちなのが、「判断力は脳の働き」であるということ。つまり、良質な睡眠とバランスの取れた食事が、そのままプレーの質につながるのです。
睡眠不足のときは集中力が下がり、適切な判断ができなくなります。偏った食事では体が重くなり、反応が鈍くなります。逆に、睡眠・栄養・水分補給がしっかりしていると、いつものプレーでも判断が速く、正確になっていきます。
「うちの子は受かるタイプなのかな?」「落ちたけど、どう声をかけたらいい?」 そう感じたときこそ、ぜひ私たちIPPOに相談してください。
私たちはオンラインでも対面でも、子どもの“判断力”や“考える力”を育てるためのサポートを行っています。 家庭での関わり方に悩む方、次の一歩に迷っている方へ。
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