努力しているのに結果が出ない。その時間を「無駄」にしないための見守り方
毎日頑張っている。でも、なかなか結果が出ない
チームの練習には休まず参加している。
家でもボールを触っている。
本人なりにサッカーのことを考えている。
それなのに、試合ではなかなか活躍できない。
スタメンにも入れない。
以前は同じくらいだった子が、どんどん上手くなっているように見える。
そんな時、本人以上に保護者の方が焦ってしまうことがあります。
「練習方法が間違っているのかな」
「もっと何かやった方がいいのかな」
「このままで大丈夫なのかな」
子どもが頑張っている姿を近くで見ているからこそ、その努力が報われてほしいと思うのは自然なことです。
IPPOでも子どもたちと継続的に関わっていると、「最近すごく伸びたな」と感じる時期もあれば、目に見える変化がほとんどないように感じる時期もあります。
でも、サッカーの成長は、
頑張った分だけ、毎週少しずつ結果に表れるものではありません。
むしろ、「変わっていないように見える時間」に何が起きているのかを知っておくことが、長く子どもの成長を支える上ではとても大切です。
成長は「階段」のように現れることがある
子どもの成長をグラフにすると、きれいな右肩上がりを想像するかもしれません。
練習する。
少し上手くなる。
また練習する。
さらに上手くなる。
でも実際には、そうならないことがよくあります。
しばらく変化が見えない。
それでも練習を続ける。
ある時、突然プレーが変わる。
そんな階段のような成長をすることがあります。
例えば、「ボールを受ける前に周りを見る」ということを学んだとします。
最初は、言われた時にしかできない。
次に、練習ではできるようになる。
でも試合では忘れてしまう。
さらに経験を重ねると、試合でも時々できるようになる。
そして、いつの間にか意識しなくてもできるようになる。
外から見ると、最後の変化だけが「成長」に見えるかもしれません。
でも実際には、その前の何週間、何か月という時間も、できるようになるために必要な途中経過だったのです。
「できない時期」に、頭の中では変化していることもある
IPPOでは、子どもたちにサッカーを教える時、プレーの結果だけでなく、
「今、何を見ていた?」
「どうしてそのプレーを選んだ?」
と聞くことがあります。
すると、以前なら、
「なんとなく」
と答えていた子が、
「相手が中にいたから外を選んだ」
「後ろから相手が来ていたからワンタッチで返した」
と説明できるようになることがあります。
結果としてはパスミスだったとしても、プレーの中で考えていることは以前より増えている。
これは大きな成長です。
ただ、こうした変化は試合を観ているだけでは分かりにくいものです。
だからこそ、
「最近ゴールを決めていない」
「試合で目立っていない」
という理由だけで、
「成長していない」
と判断しないことが大切です。
一度できたことが、またできなくなるのも普通
保護者の方が特に不安になりやすいのが、
「前はできていたのに、最近できなくなった」
という時です。
以前は積極的にドリブルしていたのに、最近はすぐパスをする。
前までは試合で活躍していたのに、最近は存在感がない。
「下手になったのかな?」
と感じるかもしれません。
でも、必ずしもそうとは限りません。
例えば、以前は相手を見ずにとにかくドリブルしていた子が、
「味方も見なければ」
「相手の位置も確認しなければ」
と考え始めた。
すると一時的に迷いが増え、プレーが遅くなることがあります。
新しいことを覚える途中では、今まで無意識にできていたことと、新しく考えることがぶつかる時期があります。
一見するとパフォーマンスが落ちたように見えても、実は次の段階へ進もうとしている途中かもしれません。
身体の成長によって、一時的にプレーが変わることもある
小学生・中学生では、身体そのものも大きく変わります。
急に身長が伸びる。
体重が増える。
手足が長くなる。
すると、それまでと身体の感覚が変わり、ボールタッチや走り方が一時的にぎこちなくなることもあります。
また、成長のタイミングには個人差があります。
小学生年代では身体が大きく活躍していた子が、中学生になると周りに追いつかれる。
反対に、小学生では身体が小さく苦労していた子が、中学生以降に急激に伸びる。
こうしたことも珍しくありません。
だからこそ、今の時点での、
速い。
強い。
試合に出ている。
ゴールを決めている。
という結果だけで、数年後の選手としての可能性まで判断することはできません。
親が焦ると、「結果」を確認する会話が増えていく
子どもの成長が見えない時ほど、保護者も不安になります。
すると知らないうちに、
「今日何点取った?」
「スタメンだった?」
「何分出た?」
「コーチに何て言われた?」
「〇〇君は出てた?」
と、結果を確認する会話が増えていくことがあります。
もちろん、聞いてはいけないわけではありません。
ただ、毎回それが続くと、子ども自身も、
「結果を出さないと成長しているとは言えない」
と思うようになるかもしれません。
そんな時こそ、少し違うものにも目を向けてみてください。
「最近、自分で準備するようになったね」
「前より練習後に振り返るようになったね」
「今日、ミスした後もう一回ボールを呼んでたね」
結果ではなく、本人が変えられる行動を見る。
これなら、活躍できなかった日にも成長を見つけることができます。
「努力しているんだから報われてほしい」が苦しくなることもある
子どもが一生懸命練習していると、
「これだけやっているんだから、そろそろ試合に出してほしい」
「これだけ頑張っているんだから、もっと上手くなってほしい」
と思うことがあります。
でも、サッカーでは努力と結果がすぐに結びつくとは限りません。
相手がいるスポーツです。
チーム内には競争があります。
身体の成長差もあります。
そして、どれだけ努力しても負ける日はあります。
これは子どもにとって、とても悔しい経験です。
でも同時に、
「頑張れば必ず思い通りになるわけではない中で、それでも次に何をするか」
を学べるのもスポーツの価値だと思います。
努力を「すぐ結果を出すための交換条件」にしてしまわないこと。
努力したからこそ、
考えられるようになった。
続けられるようになった。
できなかったことが少しできるようになった。
そんな変化にも意味があります。
親ができるのは「成長を急がせること」ではない
子どもが停滞しているように見える時、何とかしたくなると思います。
新しい練習を探す。
スクールを増やす。
コーチへ相談する。
環境を変える。
それが必要な場合もあります。
ただ、毎回すぐに何かを変える必要はありません。
時には、
「今は身につけている途中なのかもしれない」
と待つことも必要です。
そして本人には、
「最近どう?」
「今、一番できるようになりたいことは何?」
と聞いてみる。
本人が課題を感じているなら一緒に考える。
特に困っていないのであれば、しばらく見守る。
子どもの成長を支えることと、子どもの成長を急がせることは、似ているようで違います。
半年前の子どもと比べてみる
成長が見えなくなった時に、IPPOでも大切にしたいのが、比較する時間軸を長くすることです。
先週と今週。
今日の試合と前回の試合。
そこだけを比べると、調子による変化の方が大きく見えます。
そこで、
「半年前と比べたらどうだろう?」
と考えてみます。
以前より周りを見られる。
自分のプレーについて話せる。
苦手な足も使おうとしている。
失敗してもプレーを続けられる。
練習へ自分で準備して行くようになった。
サッカーの成長は、技術だけではありません。
こうした変化まで見てみると、
「思っていたより成長していたんだな」
と気づくことがあります。
まとめ
一生懸命頑張っているのに、結果が出ない。
そんな時期は、子どもにとっても、見守る保護者にとっても苦しいものです。
特に周りの子が活躍していると、
「このままで大丈夫なのかな」
と不安になるでしょう。
でも、サッカーの成長は一直線ではありません。
学ぶ。
うまくできない。
試してみる。
また失敗する。
少し分かるようになる。
ある時、プレーとして表れる。
その繰り返しです。
IPPOでも、目の前の成功だけを増やすことではなく、子ども自身が「なぜ上手くいかなかったのか」を考え、次の挑戦へつなげられるようになることを大切にしています。
だから、成長が見えない時こそ、
「もっとやらせなきゃ」
と焦る前に、
「この子は今、何を身につけている途中なんだろう?」
と考えてみてください。
今日の試合だけでは見えなくても、半年前まで視点を広げれば、きっと変わっているものがあります。
子どもの成長には、伸びていることが分かりやすい時期と、土台をつくっている時期があります。
結果が出ない時間も含めて、その子の成長の途中です。
すぐに答えを出そうとせず、少し長い時間軸で見守ること。
それも、毎日そばにいる保護者だからこそできる、大切なサポートだと思います。

