出場機会が少ない子への接し方
試合に出られない時間も、成長の途中にある
週末の試合を楽しみに会場へ行ったものの、子どもが最後までベンチに座ったまま。帰りの車でもほとんど話さず、「自分は必要とされていないのかも」と落ち込んでいる。そんな姿を見ると、保護者として何か言ってあげたくなるのは当然です。
IPPOでも、「試合に出られない子に、どんな言葉をかければよいですか」という相談をいただきます。出場時間は分かりやすい評価に見えますが、それだけで選手としての価値や将来性が決まるわけではありません。特に小学生・中学生の時期は、身体の成長、チームの戦い方、ポジションの人数、コーチが今取り組ませたい課題など、本人の努力だけでは動かせない事情もあります。まずは、出られなかった事実と「成長していない」という判断を結びつけないことが大切です。
最初に必要なのは、励ましよりも気持ちを受け止めること
子どもが落ち込んでいると、「次は頑張ればいいよ」「もっと練習しよう」と前向きな言葉を急いでしまいがちです。しかし、その前に必要なのは、本人の悔しさをそのまま受け止めることです。
「出たかったよね」「今日は悔しかったね」と、短く言葉にするだけでも構いません。原因を分析したり、コーチの判断を批判したりする必要はありません。子どもが話し始めたら遮らずに聞き、「どうして出られなかったと思う?」ではなく、「今はどんな気持ち?」と尋ねてみてください。感情が整理されてから初めて、次に向かうための考えが生まれます。
出場時間ではなく、次の行動を一緒に決める
気持ちが落ち着いたら、「次の練習で何を意識したい?」と本人に聞いてみましょう。守備の切り替え、声かけ、ボールを受ける前の準備など、本人が変えられる行動に目を向けます。
IPPOでは、試合に出られたかどうかだけで振り返らず、「今週のテーマに挑戦できたか」「練習中にどんな準備ができたか」を一緒に確認します。試合に出られない期間にも、ベンチから仲間のプレーを観察すること、アップを丁寧に行うこと、練習で信頼を積み上げることはできます。小さな行動を本人が選び、実行できた経験が自信につながります。
親がコーチに確認する場合の考え方
出場機会が長く得られず、本人も理由が分からない場合には、コーチへ確認することも選択肢です。ただし、「なぜ出してくれないのですか」と結論を求めるより、「本人が今後取り組むべき課題を教えてください」と聞く方が、子どもの成長につながる情報を得やすくなります。
その際は、子どもが自分で質問できる年齢や状況であれば、まず本人から聞く機会をつくることも大切です。親がすべてを解決するのではなく、困った時に支えながら、少しずつ自分で環境に働きかける力を育てていきましょう。
まとめ
試合に出られない日は、子どもにとって苦しい時間です。しかし、その時間を「自分には価値がない」と感じる期間にするか、「次に向けて自分のできることを見つける期間」にするかは、周囲の関わり方で変わります。
IPPOが大切にしているのは、結果だけを見て急かすのではなく、本人の気持ちを受け止め、自分で次の一歩を決められるように支えることです。保護者の役割は出場を保証することではありません。どんな状況でも、子どもが前を向き直せる安心できる場所でいること。それが、長いサッカー人生を支える大きな力になります。

