Blog

「プロは“夢”として捉えていない」――18年で数多くの選手を育ててきた三角コーチが語る、サッカーで本当に大切なこと

「プロになりたい」
そう語る子どもは多い。

では、実際にプロになった選手たちは、何が違うのか。
そして、育成年代で本当に大切にすべきものは何なのか。

熊本で18年間、数多くの選手を育て、ソレッソ熊本U-12を全国優勝へ導いた三角将行さん。
その言葉は、派手さよりも本質に向いている。

今回のインタビューでは、
・プロになった選手の“本当の共通点”
・三角さんが大事にしている「考える力」の正体
・そして、なぜ今“学ぶ場”が必要なのか

について、率直に語っていただいた。

読み終えたとき、きっと「上手くなるとは何か」の捉え方が少し変わるはずだ。


前半|プロを育てた指導者が見てきた“本物の共通点”

■ 最初から指導者志望だったわけではない

岡田:
まずは三角さんご自身のことからお聞きしてもいいですか。
熊本出身で、いま44歳ですよね。

三角:
そうです。熊本で育ちました。

岡田:
筑波大学に進まれていますが、当時から指導者を目指していたんですか?

三角:
いや、まったく考えてなかったですね。

そもそも筑波大学を目指したきっかけは、中学の体育の先生に
「あなたは筑波大学に行きなさい」
と言われたことでした。

ちょうど熊本国体の世代で、平岡先生(大津高校)との出会いもあって、
強い影響を受けた。

だから高一の時点で、筑波に行くと決めて進学校を選びました。

サッカー選手になるつもりでやってましたし、
プロになるつもりで四年間を過ごしました。

でも、なれなかった。

就職活動もしていなかったし、
残っていたのは教員免許だけ。

だから、とりあえず教員になった。
本当に“とりあえず”という感覚でした。

岡田:
教育への強い思いがあったわけではなかった?

三角:
全くなかったですね。

大学では体育経営学を専攻していて、
スポーツを通した街づくりには興味があった。

だから教員を三年ほどやったあと、
NPOでスポーツを通した地域づくりをやる団体に入った。

そこにたまたまチームがあった。
「指導をやれ」と言われてやった。

本当に、それだけです。

岡田:
そこから18年続いている。

三角:
不思議ですよね。

NPOの仕事は事務も多いし、日常業務がほとんど。
でも、子どもたちと関わる時間は非日常だった。

試合の感動や悔しさ、
子どもたちの純粋な目。

それが、全部吹き飛ばしてくれる。

気づいたら、引き込まれていた。

責任感も出てきたし、
「この子たちをちゃんと育てたい」という思いが湧いてきた。

最初から指導者になろうなんて思っていなかった。
でも、続けているうちに、
ここが自分の場所になっていた。


■ 指導で一番大事にしていること

岡田:
指導で一番大事にしていることは何ですか?

三角:
やっぱり、頑張り抜くことじゃないですか。

目の前のことに一生懸命やる。
一つひとつを、きちんと積み重ねていく。

ありきたりかもしれないけど、
当たり前のことを当たり前にやることが、一番大事だと思っています。

大きなものは、急にはつかめない。
目の前のことをクリアしていくしかない。

岡田:
玉際の強さや守備の強度も、その延長線上ですか?

三角:
そうですね。
走ること、戦うこと、やり切ること。

最近は派手なプレーが注目されるけど、
そこが土台にないと積み上がらない。

テクニックはもちろん必要。
でも、それ以前にやり抜く姿勢がないと意味がない。

岡田:
試合中の声かけでは、どんなことを意識されていますか?

三角:
公式戦ではポジティブな声かけを意識しています。

ただ、ゲームの捉え方には二つあると思っていて。
相手に合わせるか、自分たちの色を出すか。

僕らは圧倒的に後者です。

どんなに相手が強くても、自分たちの色を消さない。
積み上げてきたものをどう発揮するか。

相手の分析はします。
ストロングをどう消すかも考えます。

でも、それによって自分たちの戦い方を大きく変えることはしない。

自分たちの色を出す。
子どもたちの成長の過程で、その中で得た成功や失敗しか、次にはつながらない。

だから、当たり前のことをやり抜く。
それを続けるしかないと思っています。


■ プロになった選手の共通点

岡田:
これまで多くの選手を見てこられて、プロになった選手に共通点はありますか?

三角:
共通項はあまりないですね。

それぞれに特徴がある。
自分の武器を持っている。

基本技術はもちろんベースとして平均以上にあるし、
そこから突き抜けた何かを持っている。

それがプロの特徴だと思います。

でも、それだけではプロにはなれない。

岡田:
それ以外では?

三角:
夢や目標の捉え方ですね。

よく「夢を持ちなさい」と言うけど、
プロになった選手たちは、夢とか目標っていう形で捉えていない。

もっと近い。

「俺は多分、プロになるんだろうな」
そんな感覚でやっている。

岡田:
夢というより、前提?

三角:
そう。

当たり前の感覚値として持っている。

だから基準が高い。
「こんなんじゃ足りないよな」
「こんなところで負けてられないよな」

自然にそう思っている。

できないことがあっても、
「きっと俺ならできる」

そういう捉え方ができる子が、プロになっている気がします。

岡田:
小学生の頃からですか?

三角:
間違いなくそうです。

もちろん、いろんな経験の中で実態として捉えられるようになる選手もいる。

でも、もともとそういう資質を持っていないと、
その捉え方はできないんじゃないかなと思っています。

夢とか目標って言葉は少し抽象的だけど、
彼らにとってはもっと実体のあるもの。

そこが大きな違いだと思います。


■ “考える力”について

岡田:
三角さんは「考える力」も大事にされていると思いますが、そこについてはどう捉えていますか?

三角:
考える力が大事だと思うのは、
サッカーに向かうためのトリガーの一つだからです。

手段ですね。

なんとなくやる状態から、
きちんと意図してやる状態に変える。

自分からつかみに行く姿勢や意欲を促すために、
考えるという作業はすごく大事だと思っています。

岡田:
考える、というのは?

三角:
一つは想像すること。
もう一つは自省すること。

この二つだと思っています。

ただ、考える機会が与えられなければ、
想像も広がらないし、自省も生まれない。

だから、普段のクラブ活動とは別の枠で、
「考える」ことを扱う場があるのは大事だと思っています。

それが刺激になってくれれば、
さっき話した夢や目標の捉え方も、
抽象的なものではなく、

「じゃあどうすればいいか」という実態のあるものに
昇華できるんじゃないかなと感じています。

岡田:
サッカーに限らない力ですね。

三角:
そうですね。

サッカーの話をしてきましたけど、
子どもたちを預かっている以上、
この子たちが社会に出てどう生きるかが本来の願いです。

社会に出れば、困難は必ずある。

そのときに考え抜けるかどうか。
自分で向き合えるかどうか。

そういう力をどうにか身につけさせたいと思っています。


後半|IPPOをどう見ているか

■ 最初は正直、難しいと思った

岡田:
IPPOの話を初めて聞いたときの印象は覚えていますか?

三角:
覚えてますよ。

最初のきっかけは、小井土さん(筑波大学蹴球部監督)からの電話でした。
「こういう若者がいる。きっとサッカー界を変えるから話を聞いてくれ」って。

それで「分かりました」と言って話を聞いた。

岡田:
そのときはどう思われましたか?

三角:
正直、難しいんじゃないかと思いました。
多分その場でも「難しいよ」と言ったと思います。

オンラインでサッカーをやる?
どうやって教えるんだろう、というのが率直な感覚でした。

当時は、こういうサービスもほとんどなかった。
どんなことをやるんだろう、という想像しかなかったですね。

岡田:
かなり懐疑的だった?

三角:
懐疑的というより、現実的に考えて難しいだろうなと。

サッカーはグラウンドでやるもの。
体を動かして、ぶつかって、感じるもの。

それをオンラインでどう扱うのか。
そこは正直、イメージがつきませんでした。

でも、話を聞いていく中で、
やろうとしていることは分かった。

サッカーそのものを教えるというより、
サッカーに向き合う姿勢や、考える部分を扱おうとしている。

それなら意味はあるかもしれない、とは思いました。


■ IPPOで学んでいる選手の変化

岡田:
ソレッソさんにもIPPOで学んでいる選手がいますね。実際にIPPOで学んでいる選手の変化は感じますか?

三角:
感じましたね。

その子は、五年生のとき、うちの中でも競争が激しい学年にいて。
力はあるけど、先発で出るか出ないかくらいの位置にいた選手でした。

ちょうど五年生の終わりに新人戦があって、
僕は一試合しか見られなかったんですけど。

その試合、チーム全体があまりうまくいっていなかった。
でも、その子だけが堂々としていた。

自分の力を発揮していた。
本当に、一人だけ目立っていました。

岡田:
どういう部分に変化を感じましたか?

三角:
レギュラーになるかどうかって、もちろん本人にとっては大きな目標です。
でも、そこだけに価値があるとは思っていない。

それよりも、自分がどうあるべきか。
成長に貪欲で、毎日を積み重ねているか。

その姿勢のほうが大事です。

彼は、レギュラーを勝ち取って、さらに試合で輝いていた。
準決勝や決勝は見られなかったけど、
負けた試合でも一番輝いていたと担当スタッフから聞きました。

その過程には、絶対に積み重ねがある。

もちろん、本人の努力もあるし、
ご家庭の支えもある。

でも、その中の一つに、IPPOのような場で学びながら、
自省する作業を続けていることもあると思います。

考えながら、自分を律しながら、積み重ねている。
だから順調に成長しているんだろうな、と感じました。

岡田:
自信を持ってプレーしているように見えた?

三角:
そうですね。

大げさじゃなくて、本当に一番目立っていました。
堂々としていました。


■ サッカーが成熟していて、まさにIPPOのような場が必要

岡田:
改めて、IPPOのような場について、どう感じていますか?

三角:
特にコンテンツが、素晴らしいと思っています。

グラウンドでも学びはあります。
コーチの話を理解しようとすることも学びの一つ。

でも、ピッチの上は“動く世界”です。
ボールがあって、試合があって、感情が動いている。

子どもたちは「学んでいる」というより、
「プレーしている」感覚のほうが強い。

だからこそ、
純粋に“学ぶ”ことを目的にした場が別にあるのは大きい。

IPPOは、サッカーをする場所ではなく、
サッカーを考える場所ですよね。

それが、僕の中では刺さっています。

岡田:
なぜ今、そういう場が必要だと思いますか?

三角:
サッカーはどんどん成熟しているからです。

成熟すると、物事は細分化される。
戦術も、システムも、データも、どんどん細かくなる。

昔は「どうすればいいか分からない」状態だったのが、
今は「勝つにはこの形」「この戦術」と整理されている。

それ自体は進化です。

でも、細かくなればなるほど、
子どもたちが“自分で考える回数”は減っていく。

用意された答えに乗っかるだけでは、
成熟した世界には追いつけない。

だから思考する作業は、
意図的に作らなければいけない。

意識の高い子は、
グラウンドの中で全部を自分の中で整理できます。

でも、全員がそうではない。

だから、学びに特化した場が必要になる。

成熟すればするほど、
“考える力”を育てる場所は重要になる。

これはサッカーだけの話じゃない。

監督が変わる。
戦術が変わる。
時代が変わる。

その中でアジャストできるかどうか。

それは、考えられるかどうかです。

岡田:
これからの時代、より必要になりますか?

三角:
間違いなく必要です。

サッカーだけじゃない。
あらゆることに学びが必要な時代です。

しっかり考えている大人の近くにいること。
その人がどう思考しているのかを感じること。

それだけでも、子どもは変わる。

だから、
きちんと考えて取り組んでいる岡田くんのような人のもとで学ぶことは大事だと思っています。


三角さんからのメッセージ

岡田:
最後にこれを呼んでくれている子どもたち保護者さんたちにメッセージをお願いします。
まずは子どもたちから

三角:
夢や目標は持ちなさい。
でも持っただけで終わらないこと。

夢を身近に置く。
そうすれば「どうすればいいか」が生まれる。

なんとなく積み重ねるのではなく、
自問自答を繰り返しながら、一歩ずつ進むこと。

岡田:
ありがとうございます。次は保護者さん方に

三角:
家庭ではポジティブな声かけをしてほしい。

コーチは厳しいことも言います。
でも子どもが一番信頼しているのは親です。

「あなたにはこういう良いところがある」と
支えてあげてほしい。

子どもは親の思いには勝てません。
家庭がポジティブであれば、子どもは挑戦できます。


三角さんの話を通して見えてきたのは、
特別な才能論ではなく、
「どう向き合うか」という姿勢だった。

夢を“実体”として捉えること。
目の前のことをやり抜くこと。
そして、想像し、自省し、考え続けること。

サッカーが成熟し、戦術や情報が溢れる時代だからこそ、
子どもたちには「整理し、考える時間」が必要になる。

チームでの実践がある。
だからこそ、その外側で“学ぶ時間”を持つことが意味を持つ。

三角さんが最初は難しいと感じながら、
いま「必要な場」と捉えている理由も、そこにある。

もしこの記事を読んで、
「うちの子にも考える時間が必要かもしれない」
「チームとは別に、向き合う場所があってもいいかもしれない」

そう感じた方がいれば、
IPPOという選択肢を一度のぞいてみてほしい。

サッカーを“教わる”のではなく、
サッカーを“学ぶ”。

その一歩が、
子どもたちの目の色を変えるきっかけになるかもしれない。

無料体験に参加する 資料を受け取る
トップに戻る