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トレセンとは?選考で見られている力・受かる子と落ちる子を分ける「判断」

「うちの子、チームでは試合に出ているのに、トレセンには届かないんです」。この春も、こういうご相談をいくつもいただきました。すぐ後ろに続くのが「そもそもトレセンって、何を見ているんですか」「何が足りなかったのか、誰も教えてくれなくて」という言葉です。

私はオンラインサッカー塾IPPOで、小学生と中学生にサッカーの考え方を教えています。この記事では、都道府県のサッカー協会が公表している資料と、私たちが毎週のレッスンで子どもたちに実際に答えている中身の両方から、トレセンの仕組みと、選考で見られている力を整理しました。読み終わったときに、お子さんのプレーの見方が少し変わっていたらうれしいです。

トレセンとは?仕組みと4つの段階、選考の流れ

トレセンは「トレーニングセンター」の略称で、日本サッカー協会(JFA)が進めている育成の仕組みです。千葉県サッカー協会の資料では、その目的が次のように示されています。

  • 将来の日本代表選手となる素材の発掘
  • 良い環境と指導を与えること

つまりトレセンは、この先を見据えて選手を見つけ、伸ばすための仕組みです。今の実力で順位をつける場として作られてはいません。ここを取り違えると、選考の結果の受け止め方まで変わってしまいます。

仕組みは、下から積み上がるピラミッドの形になっています。

  • 地区トレセン(市区町村、または県内をいくつかに分けた地区の単位)
  • 都道府県トレセン
  • 地域(ブロック)トレセン
  • ナショナルトレセン

下の段階で選ばれた選手の中から、さらに上の段階の選考が行われます。小学生年代の保護者の方が最初に耳にするのは、ほとんどの場合いちばん下の地区トレセンです。ここが入口で、上の段階はその先にあります。いきなり県のトレセンに手を挙げる、という形にはならない地域が多いと考えておいてください。

選考会は初めて組むメンバーでのゲーム。ボールに触っていない時間が長い
選考会は初めて組むメンバーでのゲーム。ボールに触っていない時間が長い

選考は「推薦」から始まることが多い

流れは地域によってかなり違いますが、大まかには次の順で進みます。

  • 推薦またはスカウト。所属する少年団やクラブの監督・コーチが、実力や将来性を見込んで推薦する。地域によっては、トレセンの担当者が公式戦を見に来て声をかける形もある
  • 一次・二次選考。8人制や11人制のゲーム形式でプレーし、実戦の中で評価される
  • 最終選考と合否の通知。プレーを見たコーチ陣の話し合いを経て決まる

多くの保護者の方がつまずくのが、最初の推薦です。選考会に自由に申し込めるものだと思っていたら、チームからの推薦が前提だった、という行き違いは珍しくありません。お子さんの学年でトレセンが動き出す時期になったら、チームのコーチに「うちの子は対象になりますか」と一度だけ確認しておくと、情報の入り方が変わります。

もうひとつ知っておいてほしいのが、選考の基準はほとんど開示されないことです。合否の理由が本人にも保護者にも分からないまま終わる。この見えなさが、「何が足りなかったのか」というモヤモヤの正体です。

最初の入口は、小4・小5になる地域が多い

何年生から始まるかは地域によって差があります。小学4年生から地区トレセンの活動がある地域もあれば、小学5年生が最初の選考という地域もあります。中学年代(U-13以降)から本格的に動き出す形をとっているところもあります。お住まいの都道府県サッカー協会のサイトに、年度ごとの実施要項が出ていることが多いので、まずはそこを見るのが確実です。

小学5年生の選考を控えている方は、直前期の過ごし方をまとめたトレセン選考会「小5」直前1か月でやることも合わせて読んでみてください。当日までの1か月で何を整えるかを、日単位で書いています。

トレセンに選ばれることは、ゴールではない

これは最初にお伝えしておきたいことです。トレセンは通過点であって、到達点ではありません。選ばれなかった子が、そのあとの数年で選ばれた子を追い越していく場面を、私は何度も見てきました。逆に、選ばれたところで満足してしまい、伸びが止まる子もいます。合否は、その時点でその選考をした人たちがどう見たかという情報にすぎません。

協会の資料には、選考で見られている力がどう書かれているか

「何を見られているか分からない」という不安に対して、実は手がかりは公開されています。都道府県のサッカー協会が、育成の方針や選手像を資料として出しているからです。ここでは千葉県と東京都の2つを取り上げます。どちらも一般に公開されているもので、お住まいの地域が違っても、考え方の土台は共通する部分が多いはずです。

千葉県サッカー協会:基準を知る、原則を学ぶ、チームを越えて高めあう

千葉県サッカー協会の資料では、トレセンの運営の考え方として次の3つが掲げられています。

  • 基準を知る
  • 原則を学ぶ
  • チームを越えて高めあう

並べてみると、勝ち負けや目立ち方の話がひとつも入っていないことに気づきます。ここで言う基準とは、上のレベルではどこまで求められるのかという物差しのことです。原則とは、どのチームに行っても変わらないサッカーの土台の考え方を指します。

資料を読んでいくと、繰り返し出てくる言葉があります。「目的」「原理原則」「判断」の3つです。攻撃で何を目指すのか、守備で何を優先するのか。その目的を理解したうえでプレーを選べているか。数的優位、ポジショニング、優先順位といった原理原則に沿って動けているか。同じドリブルでも、目的と状況に合っているかどうかで評価は変わります。

U-15の目標には「状況に応じてチームが勝つためのプレーを選択できる」と明記されています。同じプレーを繰り返すのか、状況に応じて選び直せるのか。この差が、そのまま評価の差になっていきます。(参考:千葉県サッカー協会「トレセン概要」)

東京都サッカー協会:目指しているのは「クリエイティブでたくましい選手」

東京都では、都内を7つの地域に分けた地域トレセンと、そこから選ばれた選手やその原石が集まる東京トレセンという構成をとっています。役割として示されているのは、将来トップレベルの選手になれる可能性を持った選手を発掘し、年齢や所属を越えてハイレベルな環境を与えること。そして、チームの勝利ではなく選手個々のレベルアップを目的にすることです。

U-12年代の理想の選手像は「Tokyo U-12’s way」としてまとめられており、そこで挙げられているのは次のような姿です。

  • 観て、判断できる選手
  • 判断を伴ったテクニックを発揮できる選手
  • 攻守に関わり続けられる選手
  • 積極的に自分の考えを伝え、他者の思いを受けとめることができる選手
  • リスペクトの心を持てる選手

注目したいのは、観る力についての書き方です。ボールを持っているときだけでなく、off the ball、つまりボールを持っていないときに観られるかが強く意識されています。試合の中で差が出るのは、ボールを持った瞬間よりも前の準備の部分だ、という見方がはっきり出ています。

テクニックについても、単純なボール扱いのうまさではなく「判断を伴ったテクニックの発揮」という言葉が使われています。ファーストタッチの質、プレーの選択、周りを観たうえで技術を使えるか、攻守の優先順位を理解しているか。止める、蹴る、運ぶのすべてに「なぜそれを選んだのか」が伴っているかどうかが問われます。

武器についての記述も見逃せません。資料には「多くの要素を備えている選手が望ましいが、ひとつの要素がずば抜けている選手も選考対象になる」とあります。何でもそつなくこなすタイプでなければ無理だ、という話ではないということです。(参考:東京都サッカー協会 技術委員会、東京都第2ブロック「トレーニングセンター」)

2つの資料に共通していたこと

千葉と東京、書き方も分量も違う資料ですが、中心に置かれているものは重なっています。プレーの目的を理解していること、原理原則に沿って動けること、状況に応じて選べること、そしてボールを持っていない時間の質。技術は前提として大事にされつつ、それを何のためにどう使うかが問われている、という構造です。

ここから先は、この構造を保護者の方が試合で見分けられる形に落としていきます。

受かる子と落ちる子の差は、技術より「判断」に出る

選考会は、初めて組むメンバーでのゲーム形式が中心になります。連携の約束事はありません。その条件で30分から60分ほどプレーして、見ている側に何かが残るかどうか。そこで差になるのが判断です。

同じ場面を思い浮かべてみてください。中盤で味方からパスが出てくる。相手のマークは背中側から寄せてきている。ある子は、ボールが来てから顔を上げて、そこから選び始めます。もう一人は、パスが出る前にすでに相手の位置を確認していて、受けた瞬間には前へ運び出しています。技術の差はほとんどありません。差が出たのは、選ぶ作業をどのタイミングで済ませていたかです。

見ている側からすると、後者は「速い」「うまい」と映ります。実際には足の速さの話ではありません。手順が違うだけです。ここが、判断力という言葉の中身です。

受けた瞬間に前へ運び出せる子は、受ける前に選ぶ作業を終えている
受けた瞬間に前へ運び出せる子は、受ける前に選ぶ作業を終えている

判断は「受ける前」に終わっている

レッスンで私たちがいちばん多く言っているのが「受ける前に見る」です。見るものは2つに絞ります。次に出したい味方と、自分のマーク相手。この2つが分かっていれば、受けた瞬間の選択肢はかなり整理されます。

見る回数の目安も伝えています。10秒で2回、少なくとも30秒に1回は首を振る。見る対象は味方、相手、スペースの3点です。子どもに「周りを見ろ」とだけ言っても行動は変わりませんが、回数と対象を決めると変わります。首を振る習慣そのものの作り方は視野を広げる練習法に詳しく書きました。

判断は事前に2択まで、受けた瞬間は実行だけ

判断を速くしようとして、選択肢を増やす方向に行ってしまう子がいます。実際は逆です。受ける前に選択肢を2つまで絞っておき、受けた瞬間は実行に集中する。私たちのレッスンでは、この形を繰り返し伝えています。

止まる、見る、選ぶ。この順番も同じ考え方です。慌ててボールに突っ込む前に、一度落ち着いて情報を取る。そのうえで選ぶ。地味に見えますが、選考会のような一発勝負の場ではこの順番を持っている子ほど崩れにくいです。

基準を1つ持つと、判断は速くなる

いちばん効くのが、自分の中に基準を1つ持つことです。私たちは「自分ルール」と呼んでいます。たとえばこんな形です。

  • この位置にDFがいたらワンタッチではたく
  • ここが空いていたら前を向いて運ぶ
  • 背中側から寄せられていたら、いったん味方に戻す

正解を1つに決めてしまうと融通が利かないのでは、と思われるかもしれません。実際には、基準が1つあることで残りの場面に頭を使えるようになります。全部をその場で考えている子より、決めごとを持っている子のほうが、結果として柔らかくプレーできます。

「武器」を自分の言葉で言えるか

選考は、武器で評価され、弱点で減点される構造になりやすいです。ところが、私たちが1on1で聞いていると、10人中8人は自分の武器が分かっていません。残りの2人のうち1人は、武器は言えても使い方が分からない。ここは家庭でも埋められる部分です。

左足のキックが正確なのか、体の入れ方が強いのか、狭いところで前を向けるのか。ひとつでいいので、お子さんが自分の言葉で言える状態にしておく。そのうえで、それが出る場面を試合の中で自分から作りにいく。武器と判断の関係についてはサッカーIQとはでも整理しています。

選考会当日に見られている「オフザボール」チェックリスト

サッカーは、ボールを持っている時間より持っていない時間のほうが圧倒的に長いスポーツです。選考会の1試合で、一人の選手がボールに触る時間は合計しても数十秒でしょう。残りの時間に何をしているかが見られている、というのはそういう意味です。

見られやすいポイントを5つに整理しました。試合を見に行くときの視点としても使えます。

  • ボールが来る前に準備できているか
  • 周りの状況を把握できているか
  • 適切なポジションを取れているか
  • 受けたあとの判断がスムーズか
  • チームの中で機能しているか

1. ボールが来る前に準備できているか

どこに立つのか、どの向きで受けるのか、受けたら次に何をするのか。この3つがイメージできているかどうかです。来てから考える状態だと、どうしても一歩遅れます。準備ができている選手は、プレーがスムーズで、余裕があるように見えます。

私たちが小学生に伝えているのは、オフザボールの3原則という形です。相手から離れる、次のプレーを決める、半身で受ける。半身というのは、ボールと相手を同時に見られる体の向きのことです。この3つを順番にやるだけで、受けた瞬間の景色が変わります。次の試合の課題を1つ選ぶとしたら、私はここを勧めます。

2. 周りの状況を把握できているか

味方はどこにいるか、相手はどこにいるか、スペースはどこに空いているか。いわゆる首を振る動きがここに含まれます。見えている情報の量が、そのまま判断の質になります。首を振っているのに情報が入っていない子もいるので、見る対象を決めておくことが大切です。

3. 適切なポジションを取れているか

近すぎないか、遠すぎないか、味方の邪魔をしていないか。ボールに関わっていない時間でも、立ち位置は見られています。その位置にいることでチームのプレーがスムーズになるか、という視点です。

立ち位置が合っているかの簡単な判定基準があります。パスコースが見えているかどうかです。パスコースが見えている場所に立てていれば、その位置は正しい。見えていないなら、少し動けばいい。子どもにも判断できる基準なので、家庭での会話にも使えます。

4. 受けたあとの判断がスムーズか

受けてから迷って止まる、選択が遅れる。こうしたプレーは評価につながりにくいです。逆に、判断の基準を持っている選手はプレーが速く見えます。ここは技術というより、理解と経験の部分です。前の章で書いた「基準を1つ持つ」が、そのまま効いてくるところです。

5. チームの中で機能しているか

味方を活かす動きができるか、守備でも関われているか、役割を果たせているか。個人としてうまいかどうかとは別に、チームの中で力を発揮できるかが見られます。パスを出したあとに止まってしまう子、守備に切り替わった瞬間に関わりが薄くなる子は、うまくても評価が上がりにくい傾向があります。

私たちが子どもから「選考会でどう振る舞えばアピールになりますか」と聞かれたとき、決まって答えているのはここです。受かるかどうかを決めるのは選考する側なので、そこは自分では動かせない。動かせるのは、チームを勝たせるための働きかけをするかどうかです。初めて組む相手に自分から声をかけてまとめようとする子は、プレーの本数が少なくても残ります。

「受かりやすいポジション」は本当にあるのか

検索でよく調べられている質問なので、正直にお答えします。どのポジションが有利かという一般的な答えは、私は持っていません。選考の枠は毎年その年の顔ぶれで決まりますし、地域によっても、担当するコーチによっても求める形が変わるからです。「センターバックは受かりやすい」といった話が出回ることはありますが、根拠として確認できる公開資料を私は見たことがありません。

そのうえで、選考の構造から言えることが2つあります。ひとつは、どのポジションでも見られている中身は共通しているということです。観る、選ぶ、関わり続ける。千葉と東京の資料が示していたのは、ポジション別の合格ラインではありません。全ポジションに共通する土台のほうでした。

もうひとつは、人数の問題です。ゴールキーパーのように各チームからの候補が少ないポジションは、単純に競争相手の数が違います。ただ、これは受かりやすさの話ではなく、確率の話です。向いていないポジションに移って選考に臨むのは、武器を捨てて戦うようなものなので、私は勧めません。ポジションの向き不向きを考えたい方は、サイドバックに向いてる子のような、役割ベースで整理した記事を参考にしてみてください。

ポジションを選び直すより、今のポジションでの武器をはっきりさせるほうが近道です。東京都の資料にあった「ひとつの要素がずば抜けている選手も選考対象になる」という一文は、そのまま背中を押してくれます。

地域差は、どう考えればいいのか

以前、保護者の方からこういう声をいただいたことがあります。「トレセンの県交流戦に行き、地域の差に愕然としたが、どうしようもないと感じていた」。小学6年生のお子さんの保護者の方の言葉です。近くに強豪クラブがない、指導者の数が限られている、上手な選手と練習する機会が少ない。この差は現実にありますし、家庭の努力ですぐ埋まるものでもありません。

ただ、そこであきらめる必要はないと考えています。環境で差がつくのは、主に「触れる回数」の部分です。上手な選手と対戦する回数、質の高い指導を受ける回数。一方で、この記事でずっと書いてきた観る、選ぶ、基準を持つといった部分は、住んでいる場所に関係なく学べます。

私たちの塾生の内訳が、その一例になるかもしれません。2023年の入会者は8割が茨城県の方でした。地元のつくば・土浦のつながりが中心だったからです。それが2025年以降は、北海道、青森、宮城、東京、神奈川、千葉、静岡、愛知、岐阜、富山、大阪、鳥取、岡山、熊本、沖縄と全国に広がり、2026年は判明している18名のうち茨城の方は1名でした。オンラインで、考え方の部分だけを学びに来ている形です。

環境が整っていないから無理だ、とは限りません。技術やフィジカルは練習環境に左右されますが、判断の質はまだ差がついていない領域です。ここを先に押さえておくことは、地域に関係なくできます。

選考の前と後に、家でできること

保護者の方から、初回の面談でいちばん多く出てくるのが「サッカー未経験なので、何を見てあげればいいか分からない」という言葉です。口出しはしたくないが、どう促せばいいかも分からない。家庭でできることは、思っているより多いです。

家での自主練にも「右か左か」を選ぶ要素を入れる
家での自主練にも「右か左か」を選ぶ要素を入れる

声かけを「指摘」から「問いかけ」に変える

試合後の会話が結果の話だけになっていないでしょうか。ナイスシュート、惜しかったね。もちろん大事なのですが、選考で見られているのは「なぜそのプレーを選んだか」の部分です。だから、聞き方を少し変えます。

  • なんで、あのパスを選んだの?
  • そのとき、何が見えてた?
  • 他にどんな選択肢があった?

大人が正解を教える必要はありません。子どもが自分のプレーを言葉にしようとすること自体に意味があります。私たちのレッスンでも、言語化できていること自体が武器だ、というフィードバックを全コーチが返しています。うまく答えられなくても構いません。答えようとする過程で、次の試合の見え方が変わっていきます。

ひとつだけ注意点があります。子どもは良かった場面を話したがり、大人は改善点を話したがる。この食い違いが、会話を続かなくさせます。先に子どもが話したい場面を聞いてから、こちらの疑問を1つだけ乗せる。順番を変えるだけで、会話が終わらなくなります。

試合の見方を変える

試合を見るとき、ボールばかり追ってしまうのは自然なことです。ただ、差が出ているのはボールから離れたところです。

  • パスを出したあと、どう動いたか
  • ボールを受ける前に、何回首を振っていたか
  • 守備に切り替わった瞬間、どこまで戻ったか

この3つを見るだけで、お子さんの成長ポイントがかなり見えるようになります。目立っていなくても、良い位置を取れている選手、正しい選択ができている選手は評価されやすい。その見方が身につくと、家での会話の具体性も変わります。

自主練に「選ぶ余地」を入れる

判断は、考えるだけでは伸びません。選ぶ経験が必要です。リフティングと決まったコースのドリブルだけだと、どうしても作業になっていきます。

  • 右に運ぶか、左に運ぶかを、その場で決める
  • 突破するか、はたくかを、相手役の動きで決める
  • ファーストタッチを前に置くか、横に置くかを変える

毎回同じ答えにしないのがコツです。相手や状況を見て決める。ひとりで練習する場合でも、コーンを相手に見立てて向きを変えるだけで、選ぶ要素は作れます。少しの工夫で、練習の意味が変わります。

落ちたときこそ、関わり方が効いてくる

選考の結果が出たあとの数日は、その先の伸び方を左右します。落ちた事実そのものより、そこで何を受け取ったかが残るからです。落選のあとに子どもの気持ちがどう動くのか、どう立て直していくのかはトレセン落選でも大丈夫!伸びる子のリバウンドメンタルにまとめました。

良かれと思ってかけた言葉が逆に働くこともあります。よくある反応のパターンはトレセン落ちた親がやりがちなNG対応集で整理しているので、結果が出る前に一度目を通しておくと、その日に慌てずに済みます。

私が子どもたちに伝えているのは、今年ダメでも終わりではない、ということです。トレセンの選考は毎年あります。中学から先の道もあります。1回の結果で決まるものではないと本人が思えているかどうかが、翌週からの練習の質を変えます。

中学から先を、少し早めに考えておく

小学6年生の保護者の方には、もうひとつお伝えしています。ジュニアユースのセレクションは、思っているより早く動きます。トレセンの結果を待ってから調べ始めると、間に合わないチームも出てきます。時期の目安とチームの選び方はジュニアユースのセレクション|小学6年生の親が動く時期とチームの選び方にまとめました。

セレクションでやることも、根っこはトレセンと同じです。そのチームがどんなサッカーをしていて、どのポジションにどんな選手を求めているのかを調べる。そのうえで、自分の強みがどう貢献できるかを整理する。この準備をしてから受けた子と、受けてから考えた子では、当日の落ち着きがまったく違います。

パーソナル相談で子どもから出た質問

IPPOのパーソナル(コーチと1対1で話す相談の時間)で、子どもたちから実際に出た質問と、コーチの答えをまとめました。学年とポジションは質問した子のものです。

Q. 選考が近いのに怪我をしてしまいました。家で何をすればいいですか(小6・ゴールキーパー)

走れない期間は、差がつく準備期間と考えてください。逆足でのボールタッチ、試合映像を見て判断を言葉にする練習、体幹トレーニングなど、走らずにできることはたくさんあります。ただし痛めた部位に負担がかかる反復は避け、医師やチームの指示を優先してください。焦って復帰を早めるより、戻ったときに使える武器を1つ増やすほうが、選考では役に立ちます。

Q. 「声を出せ」と言われますが、何と言えばいいか分かりません(小4・センターバック)

「上がれ」「つなげ」のような掛け声だけでは、味方は何をすればいいか分かりません。伝わるのは、空いている場所や次の選択肢を言う声です。「右が空いてる」「前、ワンタッチ」「背後フリー」のように、短く具体的に言います。基準は「言ったかどうか」より「味方に伝わったかどうか」です。即席のチームで戦う選考会では、こうした声で周りを動かせるかどうかも見られています。

まとめ

長くなったので、要点を整理します。

  • トレセンは今うまい子を集める場ではなく、将来の素材を発掘して良い環境と指導を与えるための仕組み
  • 千葉県の資料が示すのは「目的」「原理原則」「判断」。U-15の目標には「状況に応じてチームが勝つためのプレーを選択できる」とある
  • 東京都が示す選手像は、観て判断できる、判断を伴った技術を使える、攻守に関わり続ける、コミュニケーションできる、リスペクトを持てる
  • 受かる子と落ちる子の差は、技術より判断の手順。受ける前に見て、2択まで絞り、受けた瞬間は実行だけ
  • オフザボールで見られるのは、準備・状況把握・立ち位置・判断の速さ・チームへの関わり
  • 受かりやすいポジションという一般的な答えはない。ポジションを変えるより武器をはっきりさせるほうが近道
  • 地域差は確かにあるが、観る・選ぶ・基準を持つの部分は場所に関係なく学べる

最後にもう一度書いておきます。トレセンは通過点です。選ばれても選ばれなくても、その日から何を積むかで数年後は変わります。この記事が、次の1週間の練習を少し変えるきっかけになれば十分です。

試合のことでの相談や、記事の更新のお知らせは公式LINEでお送りしています。お子さんのプレーで気になっていることがあれば、そのまま送っていただいて構いません。

オンラインサッカー塾IPPOでは、この記事に書いた観る・選ぶ・基準を持つといった考え方を、子どもにも分かる言葉で整理して伝えています。実際の授業がお子さんに合うかどうかは、一度受けてみるのがいちばん早いです。無料体験を公式LINEで受け付けています。

この記事を書いた人

岡田俊祐

岡田 俊祐オンラインサッカー塾IPPO 代表コーチ

レノファ山口U15 → 芝浦工業大学柏高校 → 筑波大学蹴球部 → NAGAREYAMA F.C.。全国の小中学生に「サッカーIQ(判断力)」をオンラインで教えています。

この記事のテーマで「うちの子の場合はどうなんだろう」と思ったら、LINEで聞いてください。お子さんのプレーの話、返事は私が書きます。

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