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サッカーが上達しない小学生に共通する3つの原因とうまい子がやっている振り返り

試合で変わらない理由は練習量より練習の中身にある

週に3回の練習に休まず通っている。家に帰ってからもボールを触っている。それでも試合になると、ボールに触らない時間が長い。

帰り道の車の中で、その光景を思い返す。声をかけたいのに、何を言えばいいのか分からない。そんな時間を過ごしている保護者の方は少なくありません。

原因が練習量の不足にあるケースは、思っているより少数です。足りていないのは、練習で身につけた技術を試合で使うまでの道筋のほうです。

サッカーは、22人が1つのボールを奪い合いながら、その都度いちばん良い選択を探すスポーツです。ドリブルもパスもシュートも、選んだ判断を実行するための道具にあたります。

道具の手入れだけを続けても、使いどころが分からなければ出番が来ません。裏を返せば、使いどころが分かった日から、今ある技術がそのまま武器になります。

この記事では、上達が止まる場所を3つに分けて整理します。そのうえで、うまい子がやっている振り返りと自主練の中身、家庭でできる関わり方をまとめました。

上達を止めている3つ:技術偏重・受けっぱなし・振り返り不足

IPPOのオンライン授業。プレーの理由を自分の言葉で説明する練習をする
IPPOのオンライン授業。プレーの理由を自分の言葉で説明する練習をする

伸び悩んでいる子を見ていくと、つまずく場所はだいたい3か所に集まります。技術の練習だけで終わっている。教わったことを家に持ち帰っていない。

そして、試合が終わったらそこで終わりにしている。3つのうちどれかがあてはまるなら、そこが今いちばん伸びしろの大きい場所です。

どれも努力の量とは別の話です。順番がひとつ抜けているだけなので、抜けた場所が分かれば埋められます。

技術の練習だけで終わっている

リフティングもドリブルも、回数や成功率で上達が目に見えます。達成感を得やすいぶん、練習時間はそこに寄っていきます。

いっぽう試合で問われるのは、味方と相手がどこにいるかを見る力です。ボールが来る前の1秒で状況を読めないと、練習した技術を出す場面がやってきません。

自主練の量を増やす前に、中身を見直してみてください。「止める前に一度、パスの出しどころを決める」と条件を足すだけで、同じメニューの質が変わります。

足が速い子や体の強い子が小学生の間だけ目立つのも、同じ理由です。相手のレベルが上がると、走る力だけでは間に合わなくなります。

教わったことを家に持ち帰っていない

スクールでも塾でも、受けている最中はよく分かります。分かった状態のまま次の週まで何も起きないと、内容は少しずつ薄れていきます。

IPPOの塾生アンケートに、こんな声がありました。「レッスンを受けて満足している気がする。自主練などを出していただきたい」(塾生・2026年2月アンケート)。

習っている本人が、持ち帰りの足りなさに気づいています。受けた時間の長さと、身についた量は比例しません。

対策はそれほど大変ではありません。その日にひとつだけ言葉にして帰ればいいだけです。「今日は受ける前に首を振る」で構いません。

ひとつ言葉にして帰ると、次の練習で試す材料が手元に残ります。試して、うまくいったかどうかを確かめる。この往復が始まった週から、習ったことが自分のものに変わっていきます。

試合が終わったらそこで終わりにしている

勝ったか負けたか、点を取ったか取られたか。そこで話が終わると、次の試合まで何も変わりません。

同じミスが3試合続くのは、その場面を誰も一緒に見ていないからです。振り返る相手がいれば、2試合目で気づけます。

振り返りは反省会とは違います。何が起きていたかを思い出すだけの作業で、5分もかかりません。

うまい子は試合のあと3分だけ振り返っている

相手の背後でパスを受ければチャンス。技術の次に「どこで受けるか」の判断が要る(IPPOサッカーIQ第3回)
相手の背後でパスを受ければチャンス。技術の次に「どこで受けるか」の判断が要る(IPPOサッカーIQ第3回)

上達が速い子が、特別な練習をしているとは限りません。共通しているのは、試合のあとに短い振り返りを挟んでいることです。

時間は3分で足ります。長く書かせようとすると、翌週にはもう続きません。

振り返りは3つの問いで足りる

  • 「何が起きた?」相手が2人来た、味方が背中側にいた。見えた事実だけを書く
  • 「なぜそうした?」右に運んだ理由、パスを選ばなかった理由を、その子の言葉で書く
  • 「次は何を試す?」受ける前に一度振り向くなど、次の試合で試すことをひとつだけ書く

良かった、悪かったで終わると、次の行動が出てきません。事実と理由と次の一手に分けると、小学生でも自分で書けます。

ノートなら3行で十分です。書くのが苦手な子なら、口で答えてもらって親がメモしても構いません。

毎試合やらなくても大丈夫です。週に1回、公式戦のあとだけと決めたほうが長く続きます。

書くのは、試合の日のうちがおすすめです。翌日になると、場面の細かいところが思い出せなくなります。

うまく書けているかは気にしなくて構いません。3行のうち「次は何を試す?」の欄が埋まっていれば、その振り返りは役目を果たしています。

自主練は「試合で困った場面」から逆算する

自主練メニューは、家庭がいちばん欲しがっているものです。IPPOの塾生の保護者に「あると嬉しいもの」を聞いたアンケート(2026年5月)では、自主練習メニューが1位でした。

2位は家でできる復習メニュー。何をやらせればいいのか分からない、というのが多くの家庭の本音です。

中身は、その週の試合で困った場面から選びます。相手を背負って受けられなかったなら、壁当てからの反転を10分。

見えていない側でボールを失ったなら、止める前に首を振る動きをボール2個で10分。量より、狙いがはっきりしているかどうかで差がつきます。

目安は週2回、1回15分です。毎日やみくもに30分続けるより、課題に紐づいた15分のほうが試合に返ってきます。

メニューが思いつかないときは、振り返りに書いた「次に試すこと」をそのまま練習にしてください。振り返りと自主練は、同じ1本の線でつながります。

親ができるサポートは3つだけでいい

全国の小中学生が同じ画面で学ぶ
全国の小中学生が同じ画面で学ぶ

サッカー未経験なのでアドバイスができない、という相談をよく受けます。技術の指導は、家庭の役割から外して大丈夫です。

家でできることは3つに絞れます。いずれも、親が正解を知っている必要がありません。

むしろ、知らないほうがうまくいく場面もあります。教える側にまわらず、聞く側にいるだけで会話が続くからです。

試合のあとに「なんでそうしたの」と聞く

結果ではなく理由を聞きます。「あの場面、なんで右に運んだの?」くらいの軽さで足ります。

言い方だけ気をつけてください。「なんでパスしなかったの」と「パスが出ていたらどうなったと思う?」では、返ってくる言葉が変わります。

説明しようとする時間そのものが練習になります。塾生の保護者からは、こんな変化が届いています。

  • 「自分のプレー(なんでそのように動いたか)を説明できる」(保護者・小5・2026年2月アンケート)
  • 「授業が終わってから、学んだことを私に話してくれる」(同)

答えが返ってこない日もあります。うまく言えないだけのことも多いので、その日は聞き流して構いません。

映像を一緒に見て一度止める

自分の試合でもプロの試合でも構いません。一度止めて「この選手、今どこを見てると思う?」と聞いてみてください。

解説はいりません。子どもが予想して、再生してから答え合わせをする。この往復が、判断そのものの練習になります。

週末に10分あれば足ります。試合をまるごと見返す必要はなく、気になった1場面で十分です。

今日いちばん良かったプレーを聞く

反省ばかりが続くと、子どもはサッカーの話をしたがらなくなります。うまくいった場面を言葉にすると、その形が次の試合でも出やすくなります。

「今日いちばん良かったのはどれ?」の一問で足ります。得点に絡んだプレーでなくても構いません。

守備で一歩早く動けた。声を出して味方を助けた。本人が挙げた場面を、そのまま認めてあげてください。

伸びる順番があるから今の停滞は焦らなくていい

上達は、技術・判断・武器の順に積み上がります。止めて蹴れるようになる。次に、いつどこで使うかが分かる。

そのうえで、最後にその子だけの強みが立ちます。武器と呼べるものは、判断が固まってから輪郭が出てきます。

判断が育っている時期は、外から見た変化がいちばん分かりにくいところです。スコアにも出ないので、止まっているように見えます。

この見えにくさは、保護者の側でも語られています。「すぐに試合で成果が出るものではないから」。

アンケートの自由記述にあった言葉です(保護者・2026年5月アンケート)。手応えが出るまでの数か月を、どう受け止めるかが分かれ目になります。

では、この時期は何を見ればいいのか。先に変わるのは、プレーそのものよりも取り組み方と言葉のほうです。

塾生の保護者に一番の変化を聞いた結果は、サッカーへの取り組み方が最多でした。次いで自分の考えを言葉にする力、試合中の考え方の順です(2026年5月アンケート・複数回答)。

プレーの見た目より先に、向き合い方と話し方のほうが動いています。

家で試合の話をするようになった。コーチの指示の意味が分かるようになった。こうした変化は、判断が育っている途中で出てくるサインです。

順番を飛ばして武器だけを作ろうとすると、中学で止まります。足の速さで抜けてきた子がつまずくのも、この段階です。

半年で結果が出なくても、進んでいないとは限りません。取り組み方と言葉が変わっていれば、その先でプレーに出てきます。

今日の帰り道から始められること

大がかりな準備はいりません。次の試合の帰り道に、ひとつだけ聞いてみてください。

  • 帰り道に「今日いちばん良かったプレーは?」と聞く(1分)
  • 家に着いたら、3つの問いを3行だけ書いてもらう(3分)
  • その週の自主練を、書いた課題からひとつ選ぶ(15分を週2回)

3つを今週からそろえる必要はありません。3行の振り返りが2週続いてから、自主練を足しても間に合います。

できない週があっても、責めなくて大丈夫です。止まって見える時期は、判断が育つ時期と重なります。

周りの子と比べたくなる日もあると思います。比べる相手は、3か月前のわが子で足ります。

見直す場所さえ分かれば、明日からのグラウンドは変わります。

オンラインサッカー塾IPPOでは、筑波大学蹴球部出身のコーチと一緒に振り返る時間をつくっています。試合の場面を思い出して、判断を言葉にしていく時間です。家庭だけでは続かないときの、伴走役です。

この記事を書いた人

岡田俊祐

岡田 俊祐オンラインサッカー塾IPPO 代表コーチ

レノファ山口U15 → 芝浦工業大学柏高校 → 筑波大学蹴球部 → NAGAREYAMA F.C.。全国の小中学生に「サッカーIQ(判断力)」をオンラインで教えています。

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