良かれと思って伝えているアドバイスが、子どもにとっては“反省会”になっているかもしれません
試合が終わった瞬間、いろいろ言いたくなる
週末の試合。
せっかく応援に行ったのに、今日はあまり良いプレーができなかった。
ボールを簡単に失っていた。
もっと前を向けそうな場面があった。
守備でも、もう少し頑張れたように見えた。
試合をずっと観ていた保護者だからこそ、
「ここを直したらもっと上手くなるのに」
と気づくこともたくさんあると思います。
そして帰りの車に乗った瞬間、
「今日どうだった?」
から始まり、
「あの場面、なんでパスしたの?」
「もっと周り見た方がいいんじゃない?」
「コーチも言ってたけど、切り替え遅かったよ」
と話してしまう。
決して子どもを責めたいわけではありません。
むしろ、上手くなってほしいからこそ伝えているのだと思います。
IPPOでも、保護者の方とお話しする中で、「試合後、どこまでサッカーについて言っていいのでしょうか」という悩みを聞くことがあります。
今回は、そんな試合後の親子の時間について考えてみたいと思います。
子どもはすでに、十分反省しているかもしれない
まず知っておきたいのは、試合でミスをした本人は、大人が思っている以上にそのミスを覚えていることがあるということです。
シュートを外した。
ボールを奪われた。
自分のところから失点した。
試合に負けた。
本人なりに、
「もっとできたのに」
「今日はダメだったな」
と感じながらピッチを出てきているかもしれません。
そこにコーチから振り返りがあり、その後すぐに保護者からも、
「あそこはこうした方が良かった」
と言われる。
すると、帰り道までサッカーの「反省会」が続くことになります。
もちろん、アドバイスそのものが悪いわけではありません。
ただ、正しいアドバイスでも、受け取れるタイミングでなければ子どもには届かないことがあります。
「今日どうだった?」も意外と難しい質問
試合後によく使う、
「今日どうだった?」
という質問。
悪い質問ではありません。
ただ、疲れている子どもにとっては意外と答えるのが難しい質問でもあります。
「別に」
「普通」
「分かんない」
と返ってきて、
「せっかく聞いているのに……」
となることもあるでしょう。
そんな時は、無理に会話を広げなくても大丈夫です。
例えば、
「お疲れさま」
「今日暑かったね」
「お腹空いた?」
くらいでも構いません。
サッカーの話をしない帰り道があってもいいのです。
子どもの方から、
「今日さ、あの時……」
と話し始めたら、その時に聞く。
話したくなるまで待つことも、立派なサポートです。
アドバイスより先に「本人はどう感じたか」
子どもが試合について話し始めた時にも、すぐに答えを伝える必要はありません。
例えば、
「今日全然ボール触れなかった」
と言ったとします。
そこで、
「もっと自分からもらいに行かないと」
と返すこともできます。
でも、その前に、
「自分ではどうだったと思う?」
と聞いてみます。
すると、
「相手が近くて怖かった」
「どこに動けばいいか分からなかった」
「呼んだけど味方が見てなかった」
など、外から観ているだけでは分からなかったことが出てくるかもしれません。
サッカーは、外から見えるものと、ピッチの中にいる選手が感じているものが必ずしも同じではありません。
だからこそ、まずは親の分析よりも、本人がどう感じていたのかを知ることが大切です。
「何も言わない」と「無関心」は違う
ここで難しいのが、
「じゃあ親はサッカーについて何も言わない方がいいの?」
ということです。
もちろん、そんなことはありません。
子どものサッカーに興味を持ち、一緒に喜んだり、悔しがったりすることは素敵なことです。
大切なのは、親がコーチの代わりになりすぎないことだと思います。
チームではコーチから指導を受けます。
IPPOに参加している子であれば、IPPOのコーチともプレーについて考えます。
その上で家庭に帰ってからも、
「もっとこうしなさい」
「なんでできなかったの?」
と指導が続くと、子どもにとってサッカーから離れられる場所がなくなってしまいます。
家庭だからこそ、
結果が良くても悪くても、
「おかえり」
と言ってもらえる。
そんな場所であることにも、大きな意味があります。
褒める時も「結果だけ」にしなくていい
逆に、良い試合だった時。
「ゴールすごかったね!」
「今日は2点も取ったね!」
と褒めることもあるでしょう。
もちろん、それも嬉しい言葉です。
ただ、結果だけではなく、その過程にも目を向けてみてください。
「最後まで戻って守備してたね」
「何回もボールを呼んでたね」
「失敗した後、もう一回チャレンジしてたね」
こうした部分は、ゴール数や勝敗とは違い、子ども自身がコントロールしやすい行動です。
結果が出なかった日でも認められるものが増えると、
「活躍できた日だけ褒められる」
という状態にもなりにくくなります。
親が全部解決しなくてもいい
子どもが、
「最近うまくいかない」
「試合で全然できなかった」
と悩んでいると、親としては何とかしてあげたくなります。
練習方法を調べる。
動画を探す。
コーチに相談する。
アドバイスをする。
もちろん必要な時もあります。
でも、すべての悩みにすぐ答えを出さなくても大丈夫です。
「そうなんだ」
「それは悔しかったね」
「どうしたらいいと思う?」
と一緒に考える。
そして、専門的な部分はコーチに任せる。
親が「正解を教える人」ではなく、「考えられる場所をつくる人」になる。
IPPOでは、そんな関わり方も子どもの自立につながっていくと考えています。
試合後に一つだけ聞くなら
何か一つだけ会話のきっかけをつくるなら、
「今日、楽しかった?」
と聞いてみるのもおすすめです。
「楽しかった!」
なら、それで十分な日もあります。
「全然楽しくなかった」
なら、
「何が嫌だった?」
と話が始まるかもしれません。
「悔しかったけど楽しかった」
という日もあるでしょう。
サッカーを続けていく中では、上手くいく日も、いかない日もあります。
その一試合の出来を評価することより、子どもが今サッカーをどう感じているのかを知る。
長い目で見れば、こちらの方が大切なこともあります。
まとめ
子どものサッカーを真剣に応援しているからこそ、試合後にはいろいろ伝えたくなります。
「あのプレーはこうした方がいい」
「もっと頑張れる」
「せっかく練習しているんだから」
その言葉の根っこには、子どもへの期待や応援する気持ちがあると思います。
でも、すべてをその日の帰り道に伝えなくても大丈夫です。
試合が終わった直後は、まず、
「お疲れさま」
だけの日があってもいい。
子どもが話し始めたら聞く。
悩んでいたら一緒に考える。
技術や戦術について必要な時には、コーチの力を借りる。
IPPOでは、子どもたちが自分でサッカーを考えられるようになることを大切にしています。
だからこそ、保護者の方にもすべての答えを教えていただく必要はないと考えています。
「上手くさせるために、何を言うか」だけではなく、「この子が自分で考えられるために、今日はどう関わろうか」。
そんな視点を持ってみると、試合後の帰り道が少し違った時間になるかもしれません。
子どもにとって、コーチとは違う立場で、結果にかかわらず帰ってこられる場所であること。
それも、保護者にできる大切なサポートの一つなのだと思います。

