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「判断が遅い」と言われる子は、本当に考えるのが遅い?プレーを速くする“準備”の話

ボールを持ってから考えるのではなく、ボールが来る前にどこまで準備できるか

「もっと早く判断して!」と言われるけれど…

試合を観ていると、

「判断が遅い!」

「もっと早く離して!」

「ボールを持ちすぎ!」

と指摘されている子どもを見かけることがあります。

本人も、

「もっと早くプレーしないと」

と思っている。

それでもボールを受けると相手に囲まれてしまったり、パスコースを探している間にボールを奪われたりする。

こうした場面を見ると、

「うちの子は判断するのが遅いのかな?」

と心配になる保護者の方もいると思います。

しかしIPPOで子どもたちのプレーを見ていると、いわゆる「判断が遅い」選手のすべてが、考えるスピードそのものに問題があるわけではないと感じます。

むしろ、

考え始めるタイミングが遅い。

というケースが少なくありません。

ボールが来てから考えると、時間が足りなくなる

例えば、味方からパスが来る場面を考えてみましょう。

ボールを受ける。

顔を上げる。

味方を探す。

相手を見る。

どこへパスするか決める。

そして、ボールを蹴る。

これをすべてボールを受けてから行っていたら、当然時間がかかります。

その間にも相手は近づいてきます。

結果として、

「早く判断して!」

と言われることになります。

一方で、ボールが来る前に、

「右側に味方がいる」

「後ろから相手が来ている」

「前にはスペースがある」

と分かっていたらどうでしょうか。

ボールを受ける頃には、

「前を向こう」

「ワンタッチで右に出そう」

と、ある程度プレーを準備できます。

つまり、プレーが速い選手は必ずしも頭の回転が特別に速いわけではありません。

人より早いタイミングから、次のプレーを考え始めているのです。

上手い選手は「自分にボールがない時間」を使っている

サッカーでは、一人の選手がボールを触っている時間は意外と短いものです。

だからこそ重要なのが、自分がボールを持っていない時間に何をしているかです。

例えば味方がボールを持っている時に、

「次、自分に来るかもしれない」

と考える。

周囲を見る。

相手の位置を確認する。

味方を見る。

身体の向きを整える。

次に使えそうなスペースを探す。

こうした準備をしておけば、実際にボールが来た時には選択肢がある程度整理されています。

反対に、自分にボールが来て初めてサッカーへ参加すると、そこからすべての情報を集めなければなりません。

この差が、周囲から見ると、

「判断が速い選手」

「判断が遅い選手」

の差に見えることがあります。

「早くしろ!」だけでは、何を早くすればいいか分からない

ここで難しいのが、

「もっと早く!」

という声かけです。

大人からすると、

「ボールを早く離してほしい」

という意味かもしれません。

しかし、子どもからすると、

「何を早くするの?」

となってしまいます。

パスを蹴る動作なのか。

周囲を見ることなのか。

判断することなのか。

ボールをコントロールすることなのか。

これでは改善するポイントが分かりません。

IPPOでは、単純にプレーを速くすることより、

「どの準備を早く始めれば、結果としてプレーが速くなるのか」

を考えます。

例えば、

「味方からパスが出る前に一度後ろを見る」

「ボールが移動している間に次の味方を探す」

「受ける前に身体の向きをつくる」

といった具体的な行動です。

これなら、子ども自身も次の練習から取り組むことができます。

速いプレー=ワンタッチではない

もう一つ、よくある誤解があります。

それは、

「プレーが速い=すぐにパスを出す」

という考え方です。

例えば、ボールを受けた瞬間にフリーなのに、急いで近くの味方へ返してしまう。

これはボールを離すスピードは速いですが、必ずしも良い判断とは限りません。

前に運べるなら、自分でドリブルした方がよいこともあります。

時間があるなら、ボールを持ちながら相手を引きつけた方が、味方をフリーにできることもあります。

大切なのは、

「早くプレーすること」ではなく、「必要な時に迷わず選べること」です。

時間があるなら持つ。

相手が来ているなら早く離す。

前を向けるならターンする。

状況によって答えは変わります。

だからこそ、ただプレースピードを上げるのではなく、状況を理解する力が必要になります。

保護者が試合後に聞いてほしいこと

もし子どもがボールを持ってから迷っていたら、

「もっと早くパスすればよかったじゃん」

と答えを伝える前に、

「ボールが来る前、次にどうしようと思っていた?」

と聞いてみてください。

もし、

「何も考えてなかった」

のであれば、次のテーマはとても分かりやすくなります。

「じゃあ次は、自分にボールが来る前に一回だけ次のプレーを考えてみよう」

これで十分です。

一方、

「右にパスしようと思っていたけど、相手に消された」

という答えなら、準備はできていたことになります。

そうなれば次は、

「一つ目が使えなかった時の二つ目の選択肢」

を考える段階です。

同じ「判断が遅れた」というプレーでも、子どもの頭の中ではまったく違うことが起きています。

だからこそ、外から見た結果だけで判断しないことが大切です。

「予測する力」がプレーに余裕をつくる

さらにサッカーを理解してくると、今起きていることを見るだけでなく、

「次に何が起こりそうか」

を考えられるようになります。

味方が前を向いた。

「次は自分のところにパスが来るかもしれない」

相手が中央に集まった。

「外側が空きそうだ」

味方がドリブルを始めた。

「相手が寄ったら、自分がフリーになるかもしれない」

こうした予測ができれば、さらに早く準備できます。

IPPOでサッカーIQを学ぶ時にも、今の状況だけを見るのではなく、

「この後どうなりそう?」

という問いを大切にしています。

サッカーでは、未来を完全に当てる必要はありません。

「こうなるかもしれない」と予測し、違ったら修正する。

その繰り返しによって、プレーの余裕は少しずつ生まれていきます。

まとめ

「判断が遅い」と言われると、

「もっと頭の回転を速くしなければ」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、まず見直してほしいのは、いつから考え始めているかです。

ボールが来てから、

見る。

考える。

決める。

ではなく、

ボールが来る前に、

見る。

予測する。

選択肢を準備する。

そしてボールが来たら、状況に合わせて選ぶ。

この順番に変わるだけでも、プレーには大きな違いが生まれます。

IPPOでは、子どもたちに「早くプレーしよう」とだけ伝えるのではなく、早くプレーできるために、ボールがない時に何を準備するのかを考えてもらうことを大切にしています。

サッカーが上手い選手は、ボールを持っている時だけ上手いわけではありません。

ボールが来る前から、すでに次のプレーは始まっています。

ぜひ次の試合では、子どもがボールを持った瞬間だけでなく、ボールが来る少し前に何をしているかにも注目してみてください。

20260830

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