練習ではできるのに試合ではできない。その差に隠れている「判断」の話
「練習ではできているんですけど…」
「練習ではドリブルできるのに、試合になるとすぐパスしてしまう」
「自主練では上手く蹴れるのに、試合では全然できない」
「練習を見ていると上手くなっているのに、試合になると消極的になる」
子どものサッカーを見ていると、こんな場面に出会うことがあります。
せっかく練習しているのだから、試合でももっと出してほしい。
そう思うのは自然なことです。
ただ、IPPOで子どもたちを指導していると、「練習ではできるのに試合ではできない」原因が、単純な技術不足ではないケースをよく目にします。
試合では、ボールを扱う技術だけでなく、
「いつ、その技術を使うのか」
を自分で判断しなければならないからです。
自主練と試合では、そもそも難しさが違う
例えば、自主練でコーンを並べてドリブルをするとします。
コーンは突然動きません。
どこにボールを運ぶかも、あらかじめ分かっています。
しかし、試合では違います。
相手が近づいてきます。
味方も動きます。
スペースも一瞬でなくなります。
その中で、
「ドリブルする?」
「パスする?」
「一度ボールを止める?」
「どこへ運ぶ?」
と、短い時間で判断しなければなりません。
つまり試合では、「技術を使えること」と「その技術を使う場面を見つけられること」の両方が必要になります。
だからこそ、
「練習ではできるんだから、試合でもやりなよ!」
と言われても、子どもからすると「いつやればいいのか分からない」ということが起こるのです。
「もっと積極的に!」だけでは変わりにくい
試合で消極的になっている子を見ると、
「もっと仕掛けて!」
「自信持って!」
「練習でやってることを出そう!」
と声をかけたくなります。
もちろん、背中を押す言葉が力になることもあります。
ただ、「積極的に」という言葉は少し曖昧です。
子ども自身が、
「どんな状況なら仕掛けていいのか」
を理解していなければ、次の試合でも同じ迷いが生まれます。
例えばドリブルなら、
「相手と1対1になった時」
「前にスペースがある時」
「味方が相手を引きつけてくれた時」
など、仕掛けやすい状況があります。
大切なのは、「ドリブルしなさい」とプレーを指定することではなく、ドリブルという選択肢を使える状況を理解することです。
これは、IPPOがサッカーIQを指導する中でも大切にしている部分です。
試合後は「できた?」より「何が見えていた?」を聞いてみる
ここで保護者の方にもおすすめしたいのが、試合後の質問を少し変えてみることです。
例えば、子どもがなかなかドリブルできなかった時。
「なんで仕掛けなかったの?」
と聞く代わりに、
「あの時、前には何が見えていた?」
と聞いてみます。
すると、
「相手が二人いた」
「味方が横にいた」
「後ろから相手が来ていると思った」
など、子どもなりの理由が出てくることがあります。
もしかすると、ドリブルしなかった判断自体は正しかったかもしれません。
反対に、
「相手がどこにいたか分からなかった」
という答えなら、技術ではなくボールを受ける前に周囲を見ることが課題なのかもしれません。
同じ「ドリブルできなかった」という結果でも、原因によって次に取り組むことは変わります。
「成功したか」だけでなく「選べたか」を見る
もう一つ、IPPOで大切にしていることがあります。
それは、プレーが成功したかどうかだけで評価しないことです。
例えば、子どもが相手を見て、
「今なら仕掛けられる」
と判断してドリブルしたとします。
結果としてボールを取られてしまった。
試合だけを見ると「失敗」です。
でも、
周囲を見る。
状況を判断する。
自分でプレーを選ぶ。
実際に挑戦する。
ここまでできているなら、成長につながる大切な経験です。
そこで、
「だからパスすればよかったのに」
と言われてしまうと、次から子どもは失敗しないプレーを選ぶようになるかもしれません。
それより、
「あそこ、仕掛けようと思ったんだね」
と、まず判断に目を向けてみてください。
成功と失敗を繰り返しながら、「この状況ならこのプレーが使える」という経験が少しずつ蓄積されていきます。
練習と試合をつなぐ「一つのテーマ」を持とう
試合で練習の成果を出したいなら、全部を出そうとしないこともポイントです。
例えば次の試合では、
「ボールを受ける前に一回後ろを見る」
だけ。
あるいは、
「相手と1対1になったら、一回は仕掛けてみる」
だけでも構いません。
テーマを一つにすると、子ども自身も試合の中で意識しやすくなります。
そして試合後には、
「できた?」
だけではなく、
「やってみてどうだった?」
と振り返ります。
IPPOでも、学んだことを知識として終わらせず、実際の試合で一つ試し、その経験をまた振り返ることを大切にしています。
学ぶ。
試す。
振り返る。
また試す。
この繰り返しによって、練習で身につけたものが少しずつ「試合で使える力」になっていきます。
まとめ
「練習ではできるのに、試合になるとできない」
そんな姿を見ると、練習不足や自信のなさを疑いたくなるかもしれません。
でも、その間には、
「状況を見て、自分で判断する」
という大切なステップがあります。
だからこそ、試合でできなかった時に、
「もっと練習しよう」
だけで終わらせず、
「その時、何が見えていた?」
と聞いてみてください。
子どもがどのようにサッカーを見ているのかが、少しずつ分かってきます。
IPPOでは、技術を身につけるだけではなく、「いつ・なぜ、そのプレーを使うのか」を理解し、自分自身で判断できる選手になることを大切にしています。
練習でできるようになることは、ゴールではありません。
身につけた技術を、変化し続ける試合の中で自分の判断によって使えるようになること。
その一歩一歩を焦らず積み重ねていきましょう。
20260830

